児童養護施設の一コマ~ギャクタイという言葉が流行った~

三井「この仕事をしていて”コレって虐待ですか?”と親御さんに聞かれることが増えました」

石井「そうだね。世間の権利意識が広まっているからだと思うよ」

三井「説明に困ります。虐待です、ということは簡単なのですが…例えば一度子どもの手を叩いてしまったお母さまへそう認めるには、言葉の攻撃力が強すぎて…」

石井「親を務めている自分がまるごと否定された気持ちになってしまうんだね。端的にいうと、時代が変わったんだ。ちょっとした虐待というのかな。児相に介入されない程度の虐待は世間にあふれている。昔は虐待とされなかったことが、今は虐待とされた。昔の折檻や体罰を経験してきた世代が大人になり、同じことをすると虐待とされる場合がある。その混乱は想像に難くない」

三井「ニュースで見る虐待を、みんな憎悪と嫌悪をもって、糾弾する。でも、自分がするとは夢にも思わない。そんな人が多いのかもしれませんね」

石井「ニュースで扱うのは、ほんの一部の、突出した虐待事例ばかりだからね。養育と教育に関わる大人はみんな、虐待というモノ・コトを、わが身を省みて深く理解する必要があるね」

三井「この、漫画になった、ワンシーンも不謹慎と捉えられるかも」

石井「私はそうは思わない。先の震災のときに、避難所で被災ごっこをしている子供たちを見たと臨床心理士の方が言っていたんだけどね。同じように”不謹慎”だと周囲の大人たちが言ったそうだ」

三井「はい」

石井「でもね、その臨床心理士はこう思ったそうだよ。再生のプロセスだって。ごっこ遊びをすることで自分の中に取り込み、克服するんだと。うちの子たちも同じだと思うね」

三井「今日はギャグなしでしたね」

石井「私たちにとっては、つい真面目になってしまう単語だったね。私たちも”克服”が足りないかな」

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

LINEで友達になって更新情報を受け取ろう!

ページ上部へ戻る